上 の小部屋

人と出会う1960〜80年代、一編集者の印象記

岡崎満義  岩波書店



 
 

著者はあとがきでこう述べている。

[人と会う]というタイトルにしたのだが、これは人間論とか人物論ではない。

一筆書きの印象記である。取材で会った人の忘れがたい印象を、掌にすくいあげただけのものであるから、その人のまるごとの全体像などとはかかわりないものである。

本書には錚々たる人物が取り上げられており、大変興味深いのである。

例えば岡本太郎の頁では

[ぼくは人生三回決意説、というのを唱えているんだ。一回目は何億という精子の中からただ一つの精子が、卵子とくっつくとき。二回目がオギャーとこの世に顔を出したとき、最後が人間と社会について物心がつく十二、三歳の頃だ。ここを考えもなく、自分のまわりの者に甘えたまま通りすぎた奴は、せいぜい人の好い、つきあいやすい人間になるだけさ]

という話を紹介しています。

 


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